【初心者向け】オペアンプのGBW(ゲイン帯域幅積)とは?意味・計算方法・選び方をわかりやすく解説してみる。

アナログ回路

はじめに

オペアンプ(OPAMP)を使用した回路設計では、データシートに記載されているGBW(Gain Bandwidth Product:ゲイン帯域幅積)という項目を必ず目にします。しかし、

  • GBWとは何を表しているのか?
  • GBWが大きいほど高性能なのか?
  • 回路設計ではどのように活用すればよいのか?

と疑問に感じる方も多いでしょう。

GBWはオペアンプの性能を表す非常に重要な指標であり、理解していないと「シミュレーションでは動くのに実機ではうまく動かない」「制御回路が発振する」といった問題につながります。

本記事では、回路設計初心者向けに、GBW(ゲイン帯域幅積、GB積)の意味から計算方法、選定方法までを図を交えながら分かりやすく解説します。


GBW(ゲイン帯域幅積)とは?

GBWとは、Gain Bandwidth Productの略で、日本語ではゲイン帯域幅積GB積と呼ばれます。

簡単に言えば、

オペアンプが「どれくらいのゲインで、どこまで高い周波数を増幅できるか」を表す性能指標

です。

オペアンプは理想的にはすべての周波数を同じゲインで増幅できそうに思えますが、実際には周波数が高くなるにつれてゲインが低下します。

その結果、

  • ゲインを大きくすると使用できる帯域は狭くなる
  • ゲインを小さくすると広い帯域まで使用できる

という性質があります。

これを表すのがGBWです。


図1 GBWのイメージ

図のように、オペアンプのゲインは周波数とともに低下し、最終的に0dB(1倍)となる周波数があります。

この周波数をユニティゲイン周波数と呼び、多くの場合、この値がGBWとしてデータシートに記載されています。


GBWの計算方法

単一極補償された一般的なオペアンプでは、

GBW = 閉ループゲイン × 閉ループ帯域

という関係が成り立ちます。

例えばGBWが10MHzのオペアンプでは、

閉ループゲイン使用できる帯域
1倍10MHz
10倍1MHz
100倍100kHz
1000倍10kHz

となります。

つまり、100倍の増幅を行いたい場合は、100kHz程度までしか十分な増幅ができません。

逆に言えば、100kHzまで100倍で増幅したいなら、少なくともGBW10MHz程度のオペアンプが必要になります。


なぜGBWが重要なのか?

初心者が最も勘違いしやすいのは、

「必要な信号は10kHzだから、帯域10kHzのオペアンプで十分だろう」

という考え方です。

実際にはそうではありません。

オペアンプは帯域の限界に近づくと、

  • ゲインが低下する
  • 位相が遅れる

という現象が起こります。

特に制御回路では、この位相遅れが非常に重要になります。


位相遅れが問題になる理由

オペアンプは低域通過フィルタのような特性を持っています。

単一極近似では、

  • 帯域の1/10:約6°
  • 帯域:約45°
  • 帯域の10倍:約84°

程度の位相遅れが発生します。

例えば、

  • 制御帯域:10kHz
  • オペアンプ帯域:10kHz

だった場合、制御帯域で既に45°もの位相遅れが加わります。

この位相遅れは制御ループ全体に加算されるため、

  • 位相余裕の減少
  • リンギング
  • オーバーシュート
  • 発振

の原因になります。


図2 帯域不足による応答遅れ

帯域不足のオペアンプでは、入力信号の変化に対して出力が遅れて応答します。

この遅れが制御性能を悪化させます。


スイッチング電源ではどのくらいのGBWが必要?

例えば、

  • スイッチング周波数:100kHz
  • シャント抵抗:1mΩ
  • 最大電流:10A
  • 電流検出ゲイン:100倍

の降圧コンバータを考えます。

制御帯域を10kHz程度に設計したい場合、

電流検出アンプの閉ループ帯域は少なくとも50〜100kHz程度は欲しいところです。

このとき必要なGBWは、

100(ゲイン)×100kHz

= 10MHz

となります。

そのため、このような用途ではGBWが10MHz程度のオペアンプがよく使用されます。


GBW不足で発生する問題

GBWが不足すると、次のような問題が発生します。

応答が遅くなる

入力信号の変化にオペアンプが追従できなくなります。

制御帯域が制限される

オペアンプの帯域が制御帯域より低いと、設計どおりの高速制御が実現できません。

位相余裕が減少する

オペアンプの位相遅れが制御ループに追加され、安定性が悪化します。

リンギングや発振が起こる

位相余裕が不足すると、過渡応答でリンギングや発振が発生しやすくなります。



GBW不足による制御への影響

負荷変動
    ↓
電流検出(帯域不足)
    ↓
電流ループ
    ↓
電圧ループ
    ↓
出力電圧

結果
・応答遅れ
・位相余裕低下
・リンギング増加

オペアンプ選定のポイント

オペアンプを選ぶ際は、まず

  1. 必要な増幅ゲイン
  2. 必要な信号帯域

を決めます。

そして、

GBW = ゲイン × 必要帯域

から必要なGBWを求めます。

さらに制御回路では、

オペアンプの閉ループ帯域を制御帯域の5〜10倍程度確保する

ことが、安定した制御系を設計するための目安となります。


まとめ

GBW(ゲイン帯域幅積、GB積)は、オペアンプの「ゲイン」と「帯域」の関係を示す重要な性能指標です。

本記事のポイントをまとめると、

  • GBWはGain Bandwidth Product(ゲイン帯域幅積)の略
  • ゲインを上げるほど使用できる帯域は狭くなる
  • 一般的なオペアンプでは「GBW=閉ループゲイン×閉ループ帯域」が成り立つ
  • 帯域不足は位相遅れを生み、制御系の安定性を悪化させる
  • GBW不足は応答遅れ、リンギング、発振の原因になる
  • 制御用途では、オペアンプ帯域を制御帯域の5〜10倍程度確保するのが一般的な設計目安

GBWの考え方を理解すれば、オペアンプのデータシートを正しく読み取れるだけでなく、アナログ回路の設計においても、より適切な部品選定ができるようになります。

参考図書

定番ですが、下記が参考になります。

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